寄生虫といえば、そのグロテスクな様相や、寄生して宿主を操るという点で有名ですが、
寄生虫は人間にも寄生し、時には人間を死に追いやることがあります。
今回はそんな人間を殺してしまう寄生虫について調べて見ました。
目次
年間42万人が死亡 熱帯熱マラリア原虫
マラリアは、2015年には推定でマラリア患者が2億1,200万人、マラリア死亡者が42万9,000人もいます。
人に寄生する5種のマラリアの中で、もっとも致死率が高いのが熱帯熱マラリア原虫です。
蚊(ハマダラカ)を媒体にして人に感染し、感染した熱熱帯マラリアは、人間の赤血球をことごとく破壊。
また、赤血球を毛細血管に付着させ詰まらせ、より重大な症状を招きます。
症状
熱熱帯マラリアを持った蚊に吸血されると、7~10日ほどで(遅くても1ヶ月以内)発病します。
発病すると、39~41℃の高熱が何日も続きます。
病状の進行は早く、発病から5日以内に治療しないとほとんどの人が死に至ります。
マラリア分布図
マラリアは、蚊が繁殖しやすく、経済的に発展していない国で多く発生しています。
特に赤道近くの国では、日本のように冬になると蚊の活動が低下するようなことがなく、年中蚊とマラリアが活動できる気候となっています。
マラリア自体治療法はあるので、治療さえ受けられれば治すことは出来ます。
ですが、マラリアが蔓延している国のほとんどが、経済的に発展していない国という事もあり、マラリアの治療が出来ないのが現状です。
眠ったまま痩せ細って死に至る アフリカトリパノソーマ
トリパノソーマは病名「アフリカ睡眠病」と呼ばれ、感染されて末期になると、昏睡状態のまま痩せ細って死んでしまうところから、このような名前がつきました。
感染原因
感染原因はツェツェバエに刺される事です。
ツェツェバエは、アフリカ大陸の北緯15度から南緯20度の範囲のうち約1,500kmの範囲にのみ分布する蝿で、蚊と同じく血を吸血することで生きています。
症状
ツェツェバエに刺されると、数日後に刺された場所が炎症を起こして硬くなり、痛みが出ます。
だいたい1〜2週間ほどでこの症状は消えてしまいますが、血液中やリンパ節でトリパノソーマが増殖すると、発熱、頭痛、筋肉痛などの症状が現れます。
また、原虫が脳や脊髄に入り込むと、頭痛や意識低下などの症状があらわれ、次第に朦朧としだし昏睡状態にたり、やせ細って死に至ります。
死亡数は年間5〜50万人とされています。
しかし新規患者は現象し、近年では年間で一万人を下回る程度の新規感染率となっています。
造血器官を破壊! リーシュマニア
人は、リーシュマニアに感染したサンチョウバエに刺される事で感染します。
症状
体内に入ったリーシュマニアは、白血球などに寄生し、血流にのって全身に広がります。
そして、肝臓や脾臓、骨髄などで増殖します。
症状が進むと、顔や手足、腹部などが黒くなり、この症状から、「黒い熱病」とも呼ばれています。
さらに症状が進行すると、骨髄が犯され、白血球、血小板が減り、治療しないと死に至ります。
約1200万人の感染者がおり、毎年90~130万人が新たに感染しています。
脳を喰い荒らす フォーラーネグレリア
フォーラーネグレリアはアメーバーで、主に25~35℃のやや暖かい水を好み、湖や川などの淡水中に存在します。
感染の殆どが、川や湖での水泳が原因です。
症状
鼻から脳に侵入し、大脳や小脳で大増殖して炎症をおこします。
突然の強い頭痛と発熱のあと、意識がはっきりしなくなり、やがて昏睡状態となって、5日〜1ヶ月以内に死亡します。
アメリカでは2013年の段階で、累計128人の感染があり、そのうち助かったのはたった2人です。
感染することはごく稀ですが、感染していても、殆どの場合は気が付かず、そのまま死亡します。
日本では1996年に1件あるのみで、米国でも年間4~5件程度です。
人の肝臓を10年かけて食らう 多包条虫
多包条虫は、俗に言うエキノコックスのことです。
エキノコックスと言うと、よく狐から感染すると思われがちですが、狐だけでなく、犬からも感染します。
エキノコックスには単包条虫と多包条虫の2種類がありますが、どちらも人が死亡する確率があります。
多包条虫の場合、多包条虫に寄生された狐や犬のフンには、多包条虫の卵が含まれています。
人は、それらのフンに汚染された水や野いちごなどを口にして、多包条虫に感染します。
症状
多包条虫の幼虫は、肝臓や脳、肺に寄生し、ゆっくりと発育します。そのため人は寄生されていることに気がつきません。
潜伏期間は成人で10~20年 子供で5年以上かかります。
患者の98%が肝臓に病巣を形成され、胆管を閉塞して黄疸を呈して皮膚の激しい痒み、腹水をもたらす事もあります。
症状が出てからも、ガンや腫瘍などと間違われ、取り除く段階で気がつく事もあります。
そのまま気がつかずにいると死亡します。
まとめ
どうだったでしょうか?
今回紹介したのは、人間に寄生する寄生虫のごく一部です。
実は日本にも沢山の寄生虫がいます。
寄生虫に寄生されることはそれだけで恐ろしいことですが、生食を食べない、手洗いをする、生水を飲まないなど、日常生活で気をつけていれば、早々寄生されることはありません。
寄生虫に寄生されないためにも、怪しいものには手を出さないで、しっかりと注意しましょう。
参考資料